2022年11月8日火曜日

もしかしたらチェアーより難しい?あたふたしないBPジャッジのパネルのやり方入門

徐々にBPの季節に入りますね。
今回は、意外とあんまり記事がなさそうなBPジャッジのパネルについて書いてみます。
WUDCでジャッジブレイクした時のパネルの経験を思い出しながら書いてみているので、少しでも参考になれば幸いです。

【アロケーションが決まったら】
変に自信を失わない:そもそもパネル≒ジャッジブレイクできない、という訳でもありません。確かにブレイクのボーダーにいて、ACチェックが発生することもありますし、チェアーからパネルになっていると「どこかで失敗したのかな」と焦ることもあるかと思います。大会によってポリシーは様々なので気にしすぎないのが大事です (akもガチチェック受けてますね…)
チェアーも所詮一ジャッジという気持ちも持つ:もちろんチェアーは一定ネームバリューや実績がある人がやるケースも多いと思います。とはいえ、失うものもないですし、チェアーが毎回正しいCallをするというわけでもありません。役割が異なるジャッジという風に考えてよいかと思います。

【試合中は】
基本は、普段と同じジャッジをする:パネルだからといって普段と違うことをする必要は一切ありません。4チームの比較を行うことは変わりませんし。また、チェアーの反応を気にしすぎても仕方ないと思います(チェアーがなんでそこ頷くの?とか考えるとドツボにはまります。)
・もしかしたら普段より「基準」と「比較」を端的に言えるように意識する:これは詳細は次の内容になりますが、時間がないので「短く」「端的」に違いが何なのかを意識するのは違いかもしれません。AKの場合は、各チームの比較理由だけをぱっと書いた紙を置いたりしています。
・完璧さを捨てる:極論2チームの位置づけで悩んでいるとかもあると思います。その場合は素直に悩んでいるもありです。現時点ではOGだが、COとこういう点で近い、等と理由があれば大丈夫だと思います

【Initial Callの説明方法は】
普段よりも短く話す:基本的には短く話すことが重要になります(15分のディスカッション、3人だとしても1人5分しか最大でないわけですし)。一言で言うとEngageできていなかった、よりWhy True/Importantの両方を埋めることができていた、コアクラッシュを勝ち切っていた…等色々あると思います。
求められたことだけ話す:最初のRankingの説明だけと言われたらRankingのみ、4チームの中でもOGとOOの比較だけであればそこだけ。POIと一緒ですね。適宜Happy to elaborate further if needed(詳細に関しては別途)のような表現も用いましょう。
・(好みかもですが)どこがClose, Clearかは言ってもいいかも:ここは好みですが、例えばOOとCOはInterchangableのような話もディスカッション上はありがたいとは思います

【Discussionの進め方は】
・基本的にはChairに任せるものの、Chairの気持ちを持ち続ける
:進め方はChairによる色もでるので任せてよいかと思います。他方で、例えばジャッジ全員がかなりランキングが違うときには「3人ともOO>CGなのは合意しているみたいですね」のように合意しているところを言うことであったり、CG-COの議論をしていてなかなか煮詰まってしまった場合「おそらくCGの評価はOGがどこまで言ったかに依存しているため、一度OGとCGを比較しませんか」のような提案をすることなども流れによってはアリかと思います。また、明らかにReasonableに特定のチームが勝つべきところを、他のパネルがごねている時にその「火消し」をお願いされることもあるかと思います
・結局は「基準」と「比較」のメタ認知:だいたい議論がズレる場合(Rankingがズレる場合)は、見ている「基準」(詳細はこちら)がずれているか、「基準」は一緒なものの、その中で具体的にみている内容の「比較」がずれているかのどちらかです。議論の差異がどこに出ているのかを見極め、それを解消していくことに尽きるかと思います。(発展ですが、国際大会では少し古いですが「akが見た世界トップジャッジ陣のトレンドと、日本のディベート観との比較」、「【SIDO/QDO/HKDO分析】アジアのBP大会で活躍するための3つのポイント」なども適宜ご参照ください。去年のWUDCでも大きくこの考え方はずれていなかったので参考になるかと)ここを細かく書くとそれだけで一つの記事になってしまうのですが、「この基準(群)は妥当か?」「その基準の下比較するとどちらのチームが優勢なのか?」の2つを常に意識しましょう
・変えすぎも変えなさすぎも良くない、結局は第三者視点と第二者視点:ランキングを直ぐ変えるのも変えないのもいずれもネガティブに働きえます。結局はジャッジという第三者としてどう思ったのかという視点と、ディベーターを説得できるのかという視点を行き来することに尽きます。ディベーターに説明できない内容はDissentしていいと思いますし、他方で自分が気づいていない「基準」や「比較」の説明に納得がいく場合は「議論の中で確かにXXという基準だけでは大きな差がないと感じたので、YYという基準で差をつけるのも、フェアだと思ったので~」のような説明とセットでランキングを変えて問題ないです。
普段より短く、とはいえすべての発言でValue Addする:しつこいようですが時間はないです。ので短さは大事で、詳細を説明してよいですか?と聞きながら進めましょう。他方でこちらもClosingと同じようにNewがないと意味がないので(迎合しているだけのように見える)、Newを出せるようにするか、Newがない場合は変にその議論で価値だしするのではなく、「まとめる」ことや「ほかの議論で価値を出す」ように徹底するのも重要です。
・話し方のHonestyも大事:Honestyという表現にあえてしていますが、特定のチームができていないことはしっかりとできていないというのも大事ですし、他のPanelやChairと意見が違うのはHonestに言うことはむしろ大事なことも多いです。他方で、HonestyとRudeは違うので、That is a great point / I can understand your point, however...のように受け止めながら話すことも重要です。

【ジャッジのOralの時は】
・ジャッジのBPの気持ちで:ジャッジによってはPanelに少し補足の機会を求めてくれたりします。その時にNewが言えるといいですね
徹底的に盗む:よかったところはどんどんRFDから盗みましょう。AKも格好いいジャッジ表現はパクり続けました。特に国際大会では英語の発音,表現なども同じ土俵に上がるために必要だとは思います。AKは結構色々なひとのRFDがネットに広がっていたのも含め読みました

少しでも参考になれば!

2022年9月11日日曜日

久しぶりにジャッジするときのポイント4つ

お久しぶりです。気づいたらずっと更新していませんでした。
久しぶりということで、「久しぶりにジャッジするときのポイント」というのを書いてみたいと思います。akも社会人になって、前のように「試合勘」や「トレンド」に追い付いていないというときに結構困りました。そんな中、レベルの高い大会という輪にかけた無謀な挑戦をしてしまったものの、一昨年はWSDC、去年はWUDCでブレイクできたのでその時のLessons Learnedを書いてみようと思います。

したがって、就活なのか仕事なのか、そのほかの人生の優先順位は様々あるかと思いますが、ふと、ディベートの面白さなのか後輩から頼まれたのか、いろいろなるかと思いますが戻ってきたいなぁと思ったり、もしくは少し「チャレンジ」をしないといけないと思ったら読んでみてください。

1.ジャッジの「枝葉」ではなく、「幹」に戻る;捨てることを厭わない
ジャッジは「(一定の合理性を仮定した)第三者として、勝敗の理由を腹落ちできる形で伝える」ことがその役割です。もちろん、ジャッジのConstructive Feedback(建設的なフィードバック)等教育的な役割や、試合のフォーマットへの対応(BPだと4チームの比較になる)、適宜言語の壁の突破等、そもそもとして、気になるところは多々あると思います。

特に「久しぶり」にジャッジする場合は最近のモーション、ジャッジトレンド、ディベートジャーゴン(Symmetrical、Deltaとか…)等色々足元で気になることが多々あるのは当然の反応かと思います。

それを一つ一つすべてにキャッチアップしていくことは可能な限り行ったほうがそれはもちろん良いに越したことはないですが、ずっと現役でディベートしている人たちに比べるとどうしても期間は開いており、その時間を効率的にキャッチアップしようとしても、一定の時間を要することは当たり前かと。したがって、優先順位をつけないといけない局面ではやはり「幹」なのだと思います。

したがって、「良い教育的なフィードバック」などを一定あえて捨てる、最近のディベート用語がわからなくてもまずは気にしない(もちろんメモってどこかで聞くとかはアリかと)、一定馴染みがありそうな議題での音源から戻って、まずは「昔のディベートの勘」を取り戻すことが重要かと思います。ちょっと悲しい気持ちにはもちろんなりますが仕方ないいので、いい意味であきらめることを覚えました。

2.今こそ「加点式」に;特に新しい強みから考える
とはいえ、久しぶりに戻るとやはりできないことに目が向くかと思います。特に競技ディベートは一定ストイックなスポーツ的な局面があることは否めないので。他方で、久しぶりにジャッジしているのですから、ある種「少しずつできてきた」自分をほめる形が大事かと思います。(1年生の時に、AREAが話せるようになった、などの加点式の時代があったかと、そのイメージです。)

また、意外とディベートから離れていた期間に、新しい強みを獲得しているケースも十二分にあり得ます。就活や、場合によっては新社会人になった後では特定の業界に詳しくなっていることや、そもそも企業活動に触れていることから、Economy系のモーションが意外とできるようになっているかもしれません。同じような構図は院試対策でもあるかもしれません。AKも国際法などは院試対策で意外と学べてIRの力があがったりしたこともありました。司法試験やロースクール等の対策をしていた先輩も、意外と「ロジカルに考える」癖が強くなったというケースもあるといいます。また、話し方という面でも意外と「枕詞」をつけたり、合意形成を重視される環境下に身を置くケースもあるため(グループディスカッション対策、インターン等?)それが負けたディベーターの説得の際に活きてくるかもしれません。

そのような強みはもしかしたらあなたのジャッジの「強み」にもなりえるかもしれません。ぜひいいことに目を向けていただければと思います。

3.「何ができていないのか」を徹底的に細かく考え、経験に頼らない新たなやり方も模索
「久しぶり」な時は、ジャッジをする数もきっと限られていると思いますし、勘や勢いでできたところができなくなってきていることもよくあるかと思います。こういう時こそ、自分がなんでジャッジができていないのかを徹底的に細かく考える良い機会でもあるかと思います。

そのためには、「何が原因でいいジャッジができていないのか」、「それはディベートから離れていた中でなぜできなくなったのか」をセットで細かく考えることが有益になります。

例えばですがAKの場合は意外と「情報処理能力」が落ちていたなと思ったことがありました。特に最近Rapid Speech(速すぎるスピーチ)を差別化戦略として採用しているディベーターもいるため、なおさら困ることもあるかと思います。冷静に、7分前後のスピーチを6-8回聞くというのは、1時間弱の内容を頭の中で一気に処理しきることとイコールであり、なかなかそのような機会は日常生活ではあまりないのかもしれません。

というのは、PMくらいのスピーチなら追えますし、LOくらいまでなら追えるものの、DPMくらいからClashが増えてくるとなかなか追えなくなってしまったりしたからです。

こればっかりは、おそらくディベート現役の時は議論のパターン認識もできていた(こういう議論ではこういうのが出てくるだろうとわかる)ため議論がなんとなく初見でなく理解ができる、意識的にミクロとマクロを行き来しながら今どっちが勝っているかがわかる・・・などがあったのですが、それができなくなっていたからかと思います。

そうなると戦い方を変えるしかありません。おとなしく、議題が出たら一定私はプレパしたりどういう議論が出そうかぱっとリサーチすることにして経験に基づいたパターン認識を補い、明確に紙を数枚準備して、ディベートの中でも重要な部分だけ取り出した「マクロ」な紙を準備するようになりました。(現役の時も一部やっていましたが、あまりやらないことのほうが多かったです)これで強制的にミクロとマクロを行き来し、手元におくことでブランクを補いにいったのです。

これはあくまで私の例ですが、結局「ディベーターの話を理解できていないのか?」「理解はしているものの情報処理ができないのか(論点がわからないのか、論点間の重みづけがつけられないのか、各論点の優劣がつけられないのか?)」「すべてわかっているがうまく伝えられないのか?」等、どこに問題があるのか、なんでなのかと徹底的に考えるしかないということかと思います。

4.「効率」に徹底的にこだわる
とはいえ「久しぶり」の際は時間がないかと思います。そうなると、もう効率をあげていくしかありません。いろいろな方法があるかと思いますが、AKがWUDC、WSDC前にやったことを列挙してみますので、もしよろしければぜひ。

・ディベートの試合を倍速(もしくは1.5倍)で聞いてジャッジする
・一番よくまとまってそう+最新のジャッジレクチャーを聞く
Korea WUDCのはかなり役立ちました。特にEntingはさすがでした。)
・ジャッジの試合+実際のOA(Oral Adj)がセットな内容を探して聞く
(上記とかですし、YouTubeでも意外とぐぐると出てきたりします&昔の音源を拾い出しました。Adj Testとかもいいですね。)
・大会ではひたすらにパクって、次の試合で実践する
(恰好良い表現などは全部メモりましたし、フィードバックの仕方のパターンとかもなんとなく毎回理解しにいきました。WSDCは特にジャッジが全員フィードバックするので超絶チャンスでした)
・うまいジャッジと同じ部屋になったら臆せずにフィードバックを聞く
・過去に自分が褒められたORあまりうまくいかなかったジャッジをできるだけ全部思い出す
・OAがスムーズに出てくるように英語で話す(無駄にスピ練とかしました)
・ディベートのパフォーマンスが最大化する各種ルーティーンは全部戻す(寝る、甘いもの食べる、好きな音楽を合間に聞く…)

いかがでしたでしょうか。どれも全部自分自身が苦労した話なので、ちょっとでもお役に立てていれば何よりです!

2021年9月26日日曜日

"Reason for Decision"から逆算してプレパ時間をはじめてますか?

久しぶりの更新ですね。この前「マクロ力」についてツイートしました。

「今の強いディベーターからすると当然かもしれませんが、ここ10年で国内外においてマクロな力のあるディベーターが勝ち抜いている印象があります。議論を短時間で一定固く立てられるようになった結果かもしれないですし、ボトムアップ型のディベーターへの競争戦略の結果かもしれません。

マクロ力というのは、一段ディベートを俯瞰し一歩引きながら、戦場を選び抜き、結局どう上回っているのか見せる力とでもいいましょうか。ジャッジの視点も持ちながら、個別具体の反論などを超えて結晶化する力かもしれません。また、あえて特定の話に触れない、言わないのも特徴です。

別観点でみると、ジャッジは今どのようにラウンドを見ているんだろう?このクラッシュを仮に勝ち切っても(相手の反論を仕切っても)意味はあるのか?逆に何を言えたら勝ちなのか?結局30秒でディベート全体結論づけるとどうなるのか?というような問いに答えられている状態です。

特にディベートの言語力に自信がない方、言語力もあり内容は詰めているはずなのになぜか負ける方、ボトムアップ型の思考に頼りがちな方、長くディベートから離れてカンがとり戻りづらい方、一段上のディベーターに勝ちたい方々などは今こそ意識的に鍛えるタイミングかもしれません。

鍛える方法は色々ですが、3つ紹介します。1つは、ジャッジをしながら客観力を身につけそれを試合中の応用を目指す。2つ目は、試合後に30秒で勝った理由をジャッジにアピールできるとしたら何をいうか考え抜くこと。3つ目は、自信のある言語or一段レベルの高い大会に出ることです。」

これを別観点で話すと、プレパ時間で"Reason for Decision"から逆算できているか、ということだと思います。

もちろん試合は相手がいることなのと、Horizontal思考の落とし穴として、見えない仮想敵と戦ってしまうこともあるが故に、工夫しながら行う必要はあります。一方で、「こういうところで勝ち切りたい」という仮案があるとスムーズかと思います。

具体的には、例えば個人のClashと社会のClashがある議題だとして、(だいたいありそうですが笑)、個人のClashでは勝ちやすい、社会のClashでは負けやすい、等があるかもしれないです。そう考えると、個人のClashではしっかり必ず"勝ち切る"ことを意識したうえで、いかに社会のClashでは水かけ(Counterproductiveのような話を含めて)に持っていきつつ、個人が社会よりも重要という話をできるか、だと思います。これはジャッジからすると「個人のClashはGov、社会のClashはややOppだったが、なぜ個人>社会かを説明できたのかはGovだったのでGov」というReason for Decisionになり得るかと思います。

そこから考えると、絶対に個人のClashでどうやって勝ち切るか詰める(ImpactのLikelihoodなどで勝つ、個人のClashも細分化する、等…)、社会で水かけに持ってくためのロジックを考える、個人>社会の説得的な理由付けを考える…のように思考が走りやすいかと思いました。

この再現性を高めるにはどうすればいいでしょうか? プレパ時間に考えていたReason for Decisionと、実際のReason for Decisionの"差"をひたすらにストックしていくというベタなやり方をお勧めします。その中で見たことがない基準、とらえられ方などがでてくるかと思い、そのパターンの認識が進めば進むほど、また精度があがっていくかと思います。

ぜひ、これを機に逆算、試してみてください。

2021年3月13日土曜日

"オンライン新歓"の3つのポイントとコツ一覧

 もう3月ですね。いろいろな大学が新歓の準備に入っているところですね。

今までの関連記事として新歓のコツ?、初心者向けのフィードバック海外の高校生/初心者の練習方法などがありますので、適宜そちらもご参照ください。

オンライン新歓のコツに関して、自分が相談を受けている範囲内とかで共有します。必ずしもこれらすべてが毎回良い、という話ではなく、「あ、これやってみてもいいかも」というヒントになれば幸いです。

① "ディベート以外の会話もするウェットなコミュニティ"づくり

オンラインだとどうしてもディベートに集中してしまうところがあります。ディベート以外のちょっとした会話が、オンラインだと起こりづらい構図があります(会社とかでも、ちょっとした雑談が減っている、とか言われていますよね)。人がディベートをする理由はたくさんありますが、必ずしもディベート自体の楽しさだけではなく、そこでできる人間関係や居心地の良さというようないわゆる「エモい」部分も含めてディべートを続けることが多いかと思います。
そのため、例えばですが、下記のような打ち手が考えられるかと思います。
・履修/はじめての一人暮らし/授業の悩み/ほかのサークル選びなど、いわゆる「大学生あるある」に関しても寄り添う場
・LINEなどではカジュアルな話もする場とする
・オンライン懇親会(例えば、同じような食事/お菓子等を一緒に食べると特に楽しさを感じやすいと言います)
・属性に応じた卒業生会(女性ディベーター会、帰国生会のような特定の属性だったり、将来やりたいこと(〇〇さんを囲む会)、のようなものもよいと思います)
・部のメンバーの自己紹介プロフィール一覧(Google Docsなどで写真入りで、趣味とかもぜひ)
・ラウンドの前や後、グループワークの際のアイスブレイク(”最近ハマっていること”、"一番最初に旅行に行きたいところ"などのトピックで大丈夫だと思います)

②ディベートスキルを細分化して教える

ラウンドを行うことも当然必要ですが、ディベートというのはある種知の総合格闘技なので、いろいろなスキルが必要になります。例えば、知識×思考力×プレゼンテーション力(英語含む)等の分け方ができると思いますし、またスピーカーごとかもしれません(Prime Mnisterの80点スピーチはこちら

オンラインだと実はうまく伝わりづらい、IT環境によってはなかなか聞こえない、等色々なパターンがあり得ます。そう考えると欲張りに「いろいろ一気に身に着ける」のではなく、一気に「集中と選択」することが大事になります。
実際のラウンドをするのももちろん大事ですが、要素要素にあわせたレクチャーに加え、一般的に言われるプレパ練やスピ練以外でも、いろいろあり得ます。
・特定のPMスピーチ(録画でもリアルタイムでも)を流した後、みんなで反論の仕方などを考える
・まずは皆でのプレパ練ということでAREAでみんなに話してもらう
・英語能力をあげるためのリスニング(弁論ブログのこちらとかも使えるかも?)
・ディベートの実況中継(PMからReplyなどまで、途中途中で止めたり解説しながらまずは試合のいいところや悪いところをみんなで理解する)
・「風が吹けば桶屋が儲かるゲーム」(特定のモーションと、Argumentのオチ(例えば、女性のエンパワーメントに繋がる、犯罪が減る等))を無理やりつなげて柔軟に考える力)
・日本語即興型ディベートにチャレンジ(一部のESS系でも行われていましたが、ハードルが下がるので)
・特定テーマのレクチャー(ADITKorea WUDC Training ProgramEuropean Debate Training ProgramMonashなどのイメージです)

③ ディベート前とディベート後にこそ力を入れる

1つ目と関連しますが、練習の前や後、その間こそフォローがすごく重要なところだと思います。昔であれば、ご飯を食べながら雑談やディベートのアドバイスもあったりする場もあり、そのような代替機能が必要なのではないかと思います。(必ずしも、ご飯や飲み会などが絶対マストという話をしたいわけではないです)
例えばですが、下記などが考えられます。
・コーチ/コミュニティ制度(昔UTDSが行っていた、グループごとのメンタリング制度ですね)
・必要に応じた個別フォローアップ(1 on 1)
・フォローアップセッションとしての何名かのグループごとのワークショップ/オフィスアワー
・Instagram,Twitter等の活動内容の発信
・フォローアップのディベート関連の資料/本/動画/ウェブサイトなどの共有

オンラインでの新歓、難しいですよね。。。
少しでもお役に立てれば何よりです!

2021年1月28日木曜日

Debate Videos and Workshops by WGM Speakers / 女性ディベーターの動画集

女性ディベーターに特化したビデオのリンク集です!素晴らしい取り組みだと思うので是非!(エンティンも是非追加して欲しい、とのこと!)


https://tinyurl.com/wgmdebatevideos


2020年9月22日火曜日

WSDC 2020で感じた世界の高校生のポイント

久しぶりの投稿です。

この前WSDC 2020にジャッジとして参加しました。大学生の世界大会であるWUDC以上にジャッジプールの質が高く、あっぷあっぷでした。なんとかSFまでジャッジしてきました。

その中で感じた世界の強豪校の特徴をいくつか箇条書きで書きます。

・フィードバックに貪欲
WSDCはただでさえラウンド後にチームごとに、全ジャッジがコメントをします。もちろんタイムテーブルに余裕があるようにセットされてはいるものの、3人別々の観点からジャッジが入るというだけでも相当大きいです。また、ACから"transferrable skills"に関してフィードバックするように、というお達しもあることから可能な限り一つのラウンドだけではなく、将来も使えるようなフィードバックも求められます。
強豪校であればあるほど、個人のフィードバックに関してもすごく貪欲でした。「すごく良かったよ」と言っても「さらに良くするため、さらにクリアに勝つためにはどうすればいいでしょうか?」という質問が来るのは印象的でした。
また、とりあえず「全部聞く」というのも印象的でした。ジャッジの中では当然Splitもあるので取り方がすごく異なることもあっても、顔に出さず全部メモするのはすごいなと。
日本国内でも、大会では難しいかもしれませんが練習会では特にこういう試合方式が進むといいなと思いました。

・リーダーで決めに来る
今年のコーチ陣がそういうスタイルが多いからなのかもしれないのと、調査型のディベートは特に時間がある(+即興型でも1時間のプレパ時間がある)ことも影響していると思いますが、やっぱりリーダーの出力がいいですね。具体例もそうですし、相手の話のPreemptionもしっかり行っている印象です。まさに80点スピーチ超えのような印象でした。
(ブログの80点超えシリーズはこちらから
改めて80点スピーチづくりのための練習などは有効だと思いました。

・2nd以降は"Why Likely"でクラッシュを勝ちきりに来る
Why likelyで勝ち切るチームが上に行く印象がありました。要は例えばCharacterizationがどちらもありえるとか、シナリオ(良くなるのか悪くなるのかなど)もどちらもあり得るという時に、なぜこちらのほうがより起きやすいのか、という話で決めに来る印象が特に接戦を制したチームではよくありました。
試合では当たり前ですが、早々のことがない限りすぐTieにはならない(こちらのブログ参照)こともあり、しっかり分析の深さでとっている印象が強かったです。この前ToCでシャーミラに言われたフィードバックですが"押し込む"反論が特に日本人のウィークポイントなのかもしれませんのでそこはhorizontalで練習したほうがいいのかもです。
日本国内での対処法としても、ジャッジがそこまで踏み込み続けること(また、ずっと言われていることですが、安易にtieに逃げないこと)は一つポイントかもしれません。

・FailureはExplicitに指摘する
これはやりすぎでは?というくらいに例えば相手のmodelがよくない、コントラしている、個々のメカニズムが無い、というのは(特にアジアの強豪からは)散見されました。ジャッジとしてもそういう勝敗の基準があると入れやすいんだなと。
ただ一方で、「やりすぎ」なチームも散見され、「もうわかったからいいよ」というフィードバックをたくさんもらっているチームもありました。が、日本からすると幾つか引き出しをもって活用するのは勝ちに繋がりそうですね。

・Strategicなチームが多い
WSDCの特徴としてstrategyの項目があることも影響していますが、戦略面でどこを守り切ってどこで勝つかというのが多いような気がしました。一番強い話はsqueezeするという前提ではありますが。ジャッジからのフィードバックも「ここがもっと戦略上重要なのだから反論したほうがいい」のようなフィードバックが良く見られました。もともとシンガポール等はHorizontalな練習が多い特徴がありますが、もっともっとHorizontalになり切るのが重要かもしれません





2020年4月18日土曜日

"SMART"にディベートの目標を立ててみよう!

全国で緊急事態宣言が発令されてしまいましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
皆さんや、皆さんにとって重要な人たちの健康を最優先で行動してくださいね。
多くのディベートの大会がキャンセルになってしまい、私も残念です…。オンライン化等色々な試行錯誤の中で新歓や練習も続いていると聞いています。

今日は、1人でもできることとして目標設定に関して書きたいと思います。
なんとなく、ディベートが上手くなりたい!

突然ですが、"SMART"の原則を御存じでしょうか?目標設定の際に意識したほうが良いポイントの頭文字をとったものとなります。
グロービスのこちらのページによると下記のように定義されています。

◆要素1:Specific(具体的に)
誰が読んでもわかる、明確で具体的な表現や言葉で書き表す

◆要素2:Measurable(測定可能な)
目標の達成度合いが本人にも上司にも判断できるよう、その内容を定量化して表す

◆要素3:Achievable(達成可能な)
希望や願望ではなく、その目標が達成可能な現実的内容かどうかを確認する

◆要素4:Related(経営目標に関連した)
設定した目標が職務記述書に基づくものであるかどうか。と同時に自分が属する部署の目標、さらには会社の目標に関連する内容になっているかどうかを確認する

◆要素5:Time-bound(時間制約がある)
いつまでに目標を達成するか、その期限を設定する

ビジネスで使われることも多いSMARTですが、私はディベートでも当てはまると思います。私になりに解釈すると、こうなります

◆要素1:Specific(具体的に)
ディベートのどの能力を身に着けるのか、「なぜ?」を最低3回は繰り返して明示化する。例えば、インプットとしての知識×プロセスとしての思考力×アウトプットとしての英語プレゼン力だとすると、その中でも何の知識?どういう思考力?どういうプレゼン力?となるかと思います。ここを深堀りする際には、例えば目標としているスピーチ、スピーカーなどがあるとより“解像度が高まる"と思います
◆要素2:Measurable(測定可能な)
頑張って"数字"にする。それは例えば最終的な"アウトカム(結果)"であるブレイク、スピーカースコア等も良いかと思いますが、それだけではなく"プロセス"(行為)も重要だと思います。知識をつけるのであれば何冊本を読みますか?音源ならいくつ、何時間?英語力だといくつの単語を覚えますか?…等。 
◆要素3:Achievable(達成可能な)
"2重の目標"にすることが重要だと思います。1つは本当に理想の"優勝"のようなものかもしれませんが、1つは今から少しストレッチしたらできるもの。例えばバブルラウンドで負けてしまう傾向にある場合は、それを一つ超えたブレイクになるかもしれません。本等のプロセスであれば、1日にどれくらいやらないといけないか?と割り戻してみるのも重要です(1か月で100冊、となると1日に3冊以上読まないといけませんが、授業やバイト等もあるかと思います。実現可能ですか?)
◆要素4:Related(目標に関連した)
これは、まずは一義的には大きな「ブレイク」のような目標に紐づくようなものなのか、と解釈しています。(すでに強い部分を伸ばしていても関係ない、評価されない点を伸ばしても仕方ない、等)また、最終的に自分がディベートで何を得たいのか、と言う目標とフィットしているかも重要になると思います。
◆要素5:Time-bound(時間制約がある)
それぞれの目標は短期・中期・長期等があるかと思います。お勧めは両方持つことですが、一つ良いのは大会、引退等をマイルストンにすることです。「ジェミニまでにXXする」のような。そこから「では、4月はこういう目標になる」のようになりますね。

せっかくのタイミングですので、SMARTで目標を立てているか、一度見直してみませんか?